評価:5
今回は「DELL Alienware」の360Hzモニター「AW2521H」のレビューを書いていきます。
ちなみに今回は提供された訳では無く自分で購入した物のレビューになります。
また、自分はこのモニターを使う前はBenQ ZOWIEの240Hzモニター「XL2746S」を使用していたので、そちらとの比較も混ぜて書いていきます。
先に簡単に感想をまとめると、
- 240Hzと360Hzの違いはマウスを素早く振った時にわかりやすい!
- 「KovaaK」などエイム練習ソフトの為に導入するのであればとてもおすすめ!
- 機能面が便利!
- 自分としては240Hzモニターから変えて良かった!
- RTX3080搭載PCでも殆どのFPSタイトルで360fps付近をキープするのは不可能!
- 240Hz + ULMB(残像感軽減機能)で使うならBenQ ZOWIEの「XL2746S」「XL2546K」などを使う方が良い!
と言った感じです。
その為、
「360Hzを発揮できる環境、または360fpsに対応しているゲームタイトルをプレイする方」
であればメリットを感じられると思いますが、そうでない場合は240Hzモニターを選ぶ方が良いと感じました。
この記事ではその理由以外にも
- 実際使って感じた事
- 自分のPCを使ってどのくらいのfpsを出せたのか
についても書いていくので是非参考にしてください。
外観と付属物
付属物と組み立て方
付属されているケーブルは、
- 電源コード
- USB-Bケーブル(3.2 Gen1)
(USBハブ機能、NVIDIA Reflex Latency Analyzerなどを使う場合はPCと接続する) - DPケーブル
- DP- mini DPケーブル
の4つです。
HDMIケーブルは付属されていないので、HDMI接続でも使う場合は別で用意する必要があります。
ただしHDMI接続では240Hzまでしか対応していないので気を付けて下さい。
スタンドについては2つのパーツに分かれています。
組み立て方は簡単で、2つのパーツをはめ込んで下のねじを締めるだけです。
組み立てたらモニターは箱に入れたままの状態で、スタンドを取り付けます。
形に合う様にはめ込めばスムーズに固定がされました。
ちなみにVESA規格にも対応しているので別でモニターアームを用意して取り付けることも可能です。
私自身、現在は「Amazonベーシック モニターアーム」を取り付けて使用しています。
スタンドにはケーブルを通す通路があるのでここからケーブルを通してモニターに接続します。
そうすることでケーブルが束ねられてデスク周りが綺麗になります。
ケーブルを接続したらこちらのカバーを取り付けます。
これでケーブルの存在を殆ど感じずに使う事が出来ます。
外観
スタンドと背面のロゴにはライトが搭載されており、光る色も設定で変更する事が出来ます。
操作ボタンは左側にまとめられていて、電源ボタンも同じく左側の下側に付いています。
スタンドは高さ調整に対応していて、目盛りが表記されています。
これは無段階で調整が可能で、好きなところで止められます。
横と縦の角度調整、回転させて縦向きにする事も可能です。
映像端子の差込口は、
- DP×1
- HDMI2.0×2
の3つがあります。
ちなみに360Hzに対応しているのはDPのみで、HDMIでは240Hzまでしか対応していません。
またUSBハブにも対応しており
- モニターの右後ろに2つ
- モニター中央の下側に2つ
の合計4つ付いています。
機能面について
NVIDIA G-SYNCに対応!
「AW2521H」はG-SYNCモジュールが搭載されているので、
- GTXシリーズ
- RTXシリーズ
などNVIDIAのグラボを搭載したPCでG-SYNCを使う事が出来ます。
これによってティアリングやカクつきが起こる場面でもそれを防いで、快適な映像でゲームをプレイする事が可能です。
ちなみにG-SYNCはデフォルトでONになっているので、G-SYNCを使う為に設定を変更する必要はありません。
ただし自分の場合は、
- G-SYNCを使わなくてもティアリングなどが気にならない
- G-SYNCを使うとゲームによってはマウスポインターがカクつく時がある
と言う状況なのでオフにして使用しています。
NVIDIA Reflex Latency Analyzerでマウスの遅延を計測できる!
この機能は、
「マウスをクリックしてから操作が反映されるまで、どれだけ遅延が発生しているのかを測定出来る機能」
になっています。
ちなみに「AW2521H」の画面で表示される内容は「PC・ディスプレイ遅延」の時間しかありません。
しかし「GeForce Experience」で表示するようにすると更に細かい情報まで表示できます。
「GeForce Experience」側で表示するようにすると、
- FPS
- レンダリング遅延
- マウス遅延
- PC・ディスプレイ遅延
- システム遅延
- 平均マウス遅延
- 平均PC・ディスプレイ遅延
- 平均システム遅延
など、細かく確認する事が出来ます。
ただし全てのマウスで使えるという訳では無く、対応しているマウスでしか使えません。
ちなみに自分が試した限りだと、「G PRO WIRELESS」が未対応と表示されて計測が出来ませんでした。
また、正確性については細かくわかりませんが、
- クリックの反応速度が速いと言われているオプティカルスイッチを搭載した「Razer Viper Ultimate」で2.5ms
- 通常の機械式スイッチの「BenQ ZOWIE S2」は7.5ms
と言う結果が出ていたので、しっかり測定はされていると思います。
Reflex Latency Analyzerの使い方
まず測定したいマウスをモニター下の右側(正面から見て)のUSB差込口に接続します。
ここ以外のUSB差込口に指してもReflex Latency Analyzerによる測定は出来ないので気を付けて下さい。
そしたらモニターのメニューボタンを操作して「Reflex Latency Analyzer」をオンにします。
モニター側でONにするだけだと「PC・ディスプレイ遅延」の時間しか表示されないので、次に「GeForce Experience」を開きます。
そして「GeForce Experience」の設定画面の中に、
「試験的機能を有効にします。GeForce Experienceの更新が必要です。」
と言う項目があるので、それにチェックを入れます。
これをすると、HUDレイアウトに表示できる項目の「FPSカウンター」が「パフォーマンス」に変更されています。
その中の「遅延」を設置する事で詳しい遅延情報を表示する事が出来ます。
また、この機能は
「クリックボタンを押してから画面に映っている銃のマズルフラッシュが出るまでの時間を測定する」
と言うものになっています。
その為、FPS系のゲームをプレイしていない状態でクリックしても、正しい数値は測定できません。
また使っている武器にサプレッサーが付いていたり、マズルフラッシュが少ない武器を使っている場合も測定出来なくなります。
その為、この機能を試す場合はしっかりマズルフラッシュが出る武器を撃つ必要があるので気を付けて下さい。
ちなみにマズルフラッシュを検知する範囲はモニター側の設定で調整できます。
良かった点
マウスを素早く振っても視点移動の速度が遅く見える!
個人的に240Hzと360Hzの違いを大きく感じたのはこの点です。
360Hzの場合はマウスを素早く振った時の動きが更に滑らかに感じられて、視点移動の速さが遅くなった様に見えます。
これによってマウスを早く振った時の視認性が良くなり、
- 思い通りの箇所でマウスが止めやすくなる
- 早くマウスを動かした状態でも意識的にエイムを合わせやすくなる
(勘に頼らないエイムがしやすくなる)
と言った効果が実感できました。
その為、個人的に「KovaaK」のゲームモードの、
- TILE FRENZY系のシナリオ
- Narrow Strafe Flick
などの命中率が安定しやすくなりました。
例えば「JUMBO TILE FRENZY」を例にすると自分の場合、
- ハイスコアが190
- ウォーミングアップ後は170後半~190
と言った成績なのですが、360Hzモニターにしてから180点を下回る事が殆ど無くなりました。
その為、
「エイム練習ソフトで高得点を出したいと考えている方」
にとって360Hzモニターは特にメリットを感じられると思います。
追いエイムがしやすくなる!
マウスを素早く振った時のエイムのしやすさだけで無く、追いエイムのしやすさもやりやすくなったように感じます。
この追いエイムは敵の動きに合わせた滑らかなエイム操作が必要になります。
そして360Hzで映像が滑らかになった事によって、
- 動く敵を目で追いやすくなる
- 滑らかなエイム操作がしやすくなる
- エイムの素早い切り返しがしやすくなる
と言った効果が得られて、よりエイムを合わせ続けやすくなりました。
また「KovaaK」のゲームモードで例えると、
- Narrow Strafe
- Ascended Tracking v3
などのトラッキング系のシナリオでの命中率が安定するようになりました。
例えば「Narrow Strafe」を例にすると自分の場合、
- ハイスコアが6000点ちょっと
- ウォーミングアップ後の命中率が68%~78%くらい
と言った成績ですが、360Hzモニターにしてから命中率が72%を下回ることが殆ど無くなりました。
ここまで書いて来た様に、個人的に240Hzと360Hzの違いはかなり実感できています。
特にエイム操作と視認性の面でメリットが感じられたので、エイム力を向上させたいと考えている方にとっては大きなメリットだと思います。
IPSパネルで発色が良い!
「AW2521H」のパネルは「Fast IPS」と呼ばれるもので、
「高速な応答速度とIPSパネルによる発色の良さ」
を兼ね備えたものになっています。
これによって以前使っていたTNパネルよりもかなり綺麗な映像に見えました。
なのでゲーム以外でも画像、動画、ブラウジングなどの使用でも快適に使いやすいです。
USBハブが多くて便利!
「AW2521H」はUSBハブ機能が付いていますが、そのハブで使えるUSB差込口が4つ付いています。
更にそれらのUSBポートは全てUSB 3.2 Gen1に対応しています。
これによってマウスやキーボード、「モニター掛け式ライト」など多くの機材が繋げられるのでとても便利です。
ちなみにFPS向けに特化して作られているモニターはUSBハブが無い、もしくは2つしか付いていない物も多いです。
その為、個人的にこの点は「AW2521H」の大きなメリットの一つに感じます。
モニターの操作性が良い!
「AW2521H」にはリモコンなどは無いので、モニターの操作は右側の背面に付いている5つのボタンを使います。
しかしこのボタンの操作性が良く、ボタンが大きく、間隔も十分取られているので押し分けがしやすいです。
その為、リモコンが無くても操作性に問題は感じませんでした。
PS5で120Hz表示が出来る!
この点はおまけ的な感じですが、PS5でも問題無く120Hz表示が出来ました。
と言うのもPS5はPCとは違った仕組みになっており、モニターによっては120Hz以上対応でもPS5だと60Hzまでしか表示できない場合があります。
ちなみに自分が以前使っていた240Hzモニター「XL2746S」はPS5で120Hz表示が出来ませんでした。
そして「AW2521H」はPS5と兼用で使おうと思っていたので、この点は個人的にとても良かったです。
なので自分と同じようにPS5とPC兼用で使おうと考えている方は安心して大丈夫です。
気になった点
ULMB(残像感軽減機能)を使うと、明るさ設定を最大にしても暗い!
ULMBは残像感を軽減する機能となっていますが、この機能をONにすると画面の輝度が低下します。
またこの機能をONの状態で輝度をMAXにしてもかなり暗い状態となってしまうので、個人的に視認性が悪くなると感じました。
ちなみに以前に使用していた「XL2746S」にもBenQ独自の残像軽減機能「DyAc+」が搭載されていましたが、
そちらは十分な明るさを維持しつつ使えていたので、明るさが暗くなる事無く残像感もバッチリ軽減していました。
その為、BenQ ZOWIEの「DyAc+」に慣れている方からすると「ULMB」はOFFにした方が良いと感じると思います。
とは言っても、この機能は360Hz表示の状態で使えず240Hz表示の時でないと使えないので、どちらにしてもOFFにして使う人が大半だと思います。
ちなみにG-SYNCをONにしている場合も「ULMB」を使う事が出来ません。
実際に360fpsを出せる環境、ゲームタイトルが限定される!
それぞれのゲームタイトルで出せたfps数は下の項目で書いていますが、実際に360fpsを安定して出せるのは「VALORANT」やエイム練習ソフトくらいになってしまいます。
また自分のPCはかなり性能が高めなので、PCの性能によっては更に難しくなると思います。
なので現状多くの方にとって360Hzモニターは、
「PCの性能が追いつけずオーバースペックすぎる」
と感じるかもしれないです。
ちなみに「KovaaK」であれば、GTX1080Tiを搭載したPCでも400fps以上を余裕でキープしていたので、FPS系のゲームと比べれば敷居はかなり低くなります。
FPSタイトル毎の使用感!
ここからは自分のPCで何fps出せたのかを書いていきます。
PCスペックは以下の通りです。
使用PC | パーツ名 |
---|---|
CPU | Intel Core i9 10900k |
メモリ | DDR4-3200 32GB×2 |
グラフィックボード | RTX3080 |
VALORANT
VALORANTはかなり軽いゲームなので、設定を落とせば常に360fpsに張り付いたままでした。
またテクスチャとディテールだけ高にしても360fpsを維持できています。
なのでVALORANTプレイヤーであれば360Hzモニターは導入しやすいです。
Apex Legends
「Apex Legends」は2020年12月時点だと300fps以上に対応していない様で、299fpsまでしか出せませんでした。
また、常に299fpsを維持している訳では無く、戦闘中は240~299fpsを高速で行き来している事が多いです。
(瞬間的に220fpsまで落ちる時もあります。)
ただし「Apex Legends」は元々、
「190fpsより高いfps数を出すと遅延が多くなる」
と言うバグがあるようなので、どちらにしても上限を190fpsまでに限定してプレイするのが無難です。
現に「Apex Legends」のプロゲーマーの多くは上限を190fpsに設定してプレイしています。
なので現時点だとAPEXにおいては240Hzモニターで十分だと思います。
COD:BOCW
「COD:BOCW」は重めなゲームなので、設定を全て最低にした状態で一番高い時でも270fpsまでしか出ませんでした。
また、ずっと270fps出ている訳では無く、基本的には200fps~220fpsを行き来しています。
そして広いマップで広範囲が映像に映っている状態だと、一番下がった時で170fpsくらいになりました。
その為、「COD:BOCW」をメインでプレイする方にとっては、360hzモニターのメリットは感じられないと思います。
レインボーシックスシージ
シージは設定を落とせば、330~360fps以上を大体キープしてくれます。
その為、シージプレイヤーであれば360Hzモニターを比較的導入しやすいと思います。
フォートナイト
フォートナイトでは設定を落としても、画面に映る範囲によって大幅にfpsが変動します。
建物内や広い景色が映らない状態だと300~360fpsを行き来していますが、広い景色が映ると220fpsくらいまで、極端に下がる時は170fpsくらいまで下がります。
その為フォートナイトで常に360fpsを維持するというのは難しいです。
CS:GO
CS:GOは全て低設定にして大体330~360fpsを行き来していました。
試す前はVALORANTと同じように360fpsを維持できると思っていたので、個人的に思っていたよりも低いと思いました。
それでも他のゲームタイトル比べれば十分高いです。
まとめ!
- マウスを素早く振った時に240Hzとの違いを実感しやすい!
- トラッキングエイムがしやすくなる!
- 動く敵を目で追いやすくなる!
- IPSパネルで画質が良い!
- USBハブが便利!
- PS5でも120Hz表示が可能!
- NVIDIA Reflex Latency Analyzerで細かい遅延情報を確認出来る!
- 「KovaaK」などエイム練習ソフトなどであれば360fpsも出しやすい!
- ULMBを使うと画面の明るさが暗くなる!
- 360fps出す為にはかなりのPCスペックが必要!
この様に「AW2521H」は使う人の環境やプレイするゲームによって魅力を感じるかどうかが大きく左右されます。
特に普通のFPSゲームで360fps出すと言うのはかなり難しいです。
ただし、高fpsが出せる環境であれば、エイムのしやすさと視認性が良くなるメリットが得られます。
また「KovaaK」などエイム練習ゲームであれば360fps以上出すのは簡単なので、その様なゲームで高得点を出したい方にはとてもおすすめです。
それでは読んで頂きありがとうございました。